センゲニャの今昔物語〜其の一



センゲニャ とはケニア海岸部に住む

ミジケンダ系民族 の内、ディゴ族、ドゥルマ族、ラバイ族、リベ族、カンベ族が演る

NGOMAの一種類を指す。それは丁度、西ケニアのルヒア族にスクティや

リトゥングと呼ばれる異なるNGOMAの形式があるように。

また、ミジケンダ系民族であるギリアマ族のンゴマの中に、ゴンダやマブンブンブ、

ナンバやディンバがあるように、上記5つの民族の中で “センゲニャ” と呼ばれる

NGOMAがあるのだ。それでは、このセンゲニャを知るには、どうしたら良いだろう?

若しかしたらこの5つの民族で

共通してみられるモノが “センゲニャ” であるかも知れない。

私の思う所、現在ではそれは

1)ヤンダロ・ムセレゴ・クチャンガニャと言う3つの形式からなる構成。

2)特にヤンダロ・ムセレゴで聴ける変拍子のチャプオのパターン。

この2つに集約されると思う。

クチャンガニャについては、全く違うような古式のパターンがある為

やはり、前半2つに於けるチャプオの変拍子パターンが共通項として

認められるのではないか?と私は考える。

さて、2組で演奏されるチャプオウパツ と呼ばれる金属の皿を

引っくり返したようなモノで作り上げたリズム構成上でソロを取るのが

今回紹介する(以前ブンブンブで紹介した)

紐で縛りチューンナブルなブンブンブである。

チューニングされた2つのブンブンブの低音を丁度良い高さの

木に括り付け、高い方を肩から下げ台に乗せた片足で支えつつ

片手で両方の太鼓、もう片手でナイフの柄を使い微妙な音程の調節をしながら

叩くのだ。これが本来のセンゲニャの楽器構成 である。

日本人でありながらセンゲニャを叩く大西匡哉君が使う

2つのムチリマ、カブンブンブ、ヴミからなる通称ンゴマ・ンネは

相当新しいスタイルで、本来、センゲニャとは先に述べたディゴ族他の

5つの民族に於いて共通してみられる音楽的特徴と、その

ソリストが2つのカブンブンブを片手でナイフの柄を使用して見事に

太鼓的メロディ―を奏でるモノなのである。従って、現在のボーマス及び

私自身も大西君と演っていたゴーマやカサ等の演目が含まれていたのでは

百歩譲ってもセンゲニャとは呼び難いのが事実だ。

また、左でデモ演奏を見せてくれたカパパ翁の家系は

大西君の師匠であるマテラ翁と同じく

その昔、行われた大きなNGOMAのマシンダノ(試合)で

他のNGOMA等を破りセンゲニャに勝利を齎した

ディゴ、ドゥルマ、ラバイ、リベ、カンベ族から

約12組選ばれたセンゲニャのベストグループによる

センゲニャ連合軍の一つである。

カパパ翁によれば現在でも村の名人達の中には

ンゴマ・ンネを認めず、頑固にこのスタイルでセンゲニャを叩き続ける名人が

多く居るそうだ。カパパ翁はこのスタイルも自他共に認めるほど

相当な腕前であるらしい。

さて、早川千晶女史によれば

大西君は既にソゴラ(免許皆伝?名人の意)の冠を得たらしいので

勿論、この本来のスタイルも出来るのであろう。

今回、私は初めて見て、少しは挑戦してみたのだが

右手の独特のBUZZ音を含んだタッチといい

堅い柄を使っている所為か?

ナイフの方も音程の調節と共に豊かなBUZZ音を含み

これはこれで簡素だが、非常に魅力的な太鼓であった。

それと同時に、相当に微妙な難しいタッチを要求されるので驚いた。

自慢じゃないが、私には難し過ぎてとてもじゃないが

あの微妙なBUZZ音を含んだタッチは出来なかった(苦笑)

機会があれば、大西君にも是非!

日本で正式なスタイルも紹介して貰いたいものだ。





これがチューンナブルなブンブンブ、大きさは

ギリアマのモノに比べると比較的小さい。



センゲニャの巨匠の一人アジズ翁(通称カパパ翁)に

実際に使われる様子を再現して貰った。カパパ翁は

70年代半ばにボーマス・オブ・ケニアに入団し

黄金期(70年代)から現在までずぅ〜っとボーマスを

支え続けてきた立役者だ。また、自身のラバイ族の

NGOMAだけに限らず、様々な民族の太鼓を叩きこなす

優れたマルチプレイヤーでもある。




上の状態を遠くから撮影したもの

手に持ったナイフと、肩から下げたカブンブンブの

支え方等がよく分かって頂けると思う。





撮影中の一コマ、手前左から管理人〜

〜管理人のスクティの師匠フェスタス氏〜カパパ翁。

因みにこの後は、フェスタス氏によるスクティのミニ講座

から氏とカパパ翁のスクティ・セッションが始まった。






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