タッチ=サウンド・コントロールと云うのは本当に凄く大事
僕が出会った名人達は皆須らく “魔法の手=マジックタッチ”
を持っていた。
ここに僕が実際に観て憧れた “魔法の手=マジックタッチ”
の持ち主達をすこ〜しだけ紹介したい。
一人目はやはり、ジュリアス・シュトゥ・マーシャ
さん、僕が手で叩く太鼓を始めたキッカケの人だ。
始めて出会ったのがナイロビで行われた友人の結婚式
彼女の旦那さんは確か役者さんで結婚パーティは国立劇場で行われた
その時、偶然隣に座っていたのがマーシャだった。。。
「アンタは何やっている人?」
「ワタシはアーティストだ」
「ふぅ〜ん、、じゃあ、絵描きかなんかかい?」
「イヤ、ワタシはパーカッショニストだ」
「なんだとぅ?この野郎!」
と、何故、ここで逆上
したのか?今もって不明だが(苦笑)僕も若かったんだろう(なんじゃそら!!)
急遽、新郎新婦の前でお祝いのセッション!?をする事になったのだ
倉庫から出して来たのは腐りかけたニドゥオンゲ二つ
リムは凹んでいるし、皮はボコボコだし鳴りゃあしない(苦笑)
手で叩くなんて初めてだったが 「ドラムよか簡単だろ?たかが太鼓だろ?」
と
ナメてかかって見事返り討ち、、、百万光年ブッ飛ばされたのだ
マーシャがたった一発叩いただけで勝負はついていた筈なのに
永遠と続くジャム・セッションと云う名の恥晒し
どっかに映像が残っているんだろうなあ、、、ああ、恥ずかしい
すっかり閉口して弟子入り志願(苦笑)
当時の彼女と旅をして約1年後にナイロビに戻り、お暇を頂き早速マーシャの所へ行くと
「ああ!オマエはあの時の!!」
「すみません!あと数日で帰国なんですが、、、宜しくお願いします!!」
「な!なんだとぅー!?じゃあ、早くその太鼓を叩け!!」
当時のマーシャはエドゥが持ってきたナンカサを並べてCONGA+NGOMA
NNE的なスタイルだったな
ナンカサをCONGAみたいに鳴らすのは非常に難しい、、惚れ惚れするようなトーンが魅力だけどスラップが、、、ね
決してヤワにならない芯が通ってメロディアス、、そんなマーシャの音を追っかけて
手は毎日ボロボロで、宿に帰ってバケツに水を溜め、そこに手を突っ込んで 「はぁ、、、」
の毎日
結局、最終試験に不合格でナンカサは持って帰れず、只の木の筒状の太鼓を持って帰国
だから、俺のルーツは只木ぃ刳り貫いて皮をベタッと張っただけの太鼓だ(苦笑)
カッコいいじゃん?
で、最後に
「お土産だ」
と演ってくれた曲がなんか心に引っ掛かって
それが彼の民族ギリアマの伝統曲だと知って、「よし、今度はアレを腹一杯習うぞ!」と決めて
再度、ケニアに戻るまでに
色々と有名無名を問わず太鼓叩きに出会ったが、、、どう見ても、どう聴いても
“マーシャの方が上”
だった。
多分、インパクトが極度に凝縮・圧縮されて爆発しているのだろう
もの凄い質感を持った音、、圧倒的に説得力のあるブレない音、、憧れたなあ、、、
その後、色々とスッタモンダの末にギリアマ族の太鼓を教えて貰う事になったんだが
そこから、芋づる式に故・チャロ・シュトゥやランドゥ翁、マーシャ・イハ翁、マテラ・マサイ翁
ムイタロ・アルクェ翁、カヒンディ・ツァンジェ翁、ジョセフ・ムクワイヤ氏、クニャ・アズィズ翁、カリサ・マケンズィ翁、ガラマ・マケンズィ翁、
ロバート・チャロ翁、ムハンガ翁、ジェームス・セワキリニャガ翁、ココ・マラリ翁、、、、沢山の名人と出会った
全てはマーシャが始まりだ
兄貴分で親友で一生の大恩人
土曜日曜は、毎回挑戦してブッ飛ばされる練習の日々、、金もとらず、昼飯を奢るだけで飽きもせずに
よく付き合ってくれたなあ、、、感謝しなきゃね
現在は俺にとってはイヤな弟分(俺よか上手だから)のイディと共に
欧州でDjembeやCONGAを叩いて悠々暮らしている
「GONDAが叩けりゃ何でも出来る!」
「Afro
Cuban?8/6拍子?チャカチャだろ?結局」
「これはキューバのNGOMA ZA
PEPOだ」
「いいか、ギリアマの太鼓叩くんだったら、絶対に負けるな!」
「何で?こんな簡単なのに、もっと早く覚えられない?」
「眼がウソついているのか?耳がウソついているのか?」
はいはい、、分かってますよう。。。
フランス文化センターで、A/Dさんをイディと一緒にブッ潰したんですってね?
A/Dさんは結構有名なDjmebe叩きですよ?可哀想に、、、もう少し、他民族のNGOMAに敬意を払いましょうよ。。。
結論
マーシャは何を叩いてもマーシャだ(苦笑)
神憑った時のマーシャの向こうに、アンタのお父さんの若き日が見えるよ、俺には
アンタと一緒にコンビを組んでゴンダやマブンブンブが叩けた事が俺の誇りだよ
俺はアンタの音が好きだったなぁ、、、所謂、ハードヒッターならギリアマには沢山いるんだよ
でも、マーシャみたいな音は出ないねぇ、、なんでかね?インパクトが全く分散しないんだよな、、、
文字通り、塊になって音が飛び出してくるアノ感じ、、、
ゲデの村中の太鼓叩き達が絶賛した太鼓を
あの爆音村で叩きまくられてビクともしなかった太鼓を、ほんの数分で2本とも破っちゃったのはマーシャぐらいだよ
大介泣いていたよお?
あの毒キノコみたいなゴツイ手作りDjembeも、、、ソロでノッてきてドンッ!と叩いたら真ん中に手がズボッと、、、(苦笑)
ドリフ
じゃないんだから、、、あんなブ厚い皮の偽Djembe、、どうやったら手が突き抜けるように穴が開くかねぇ。。。
鉄板ぐらいがちょうどイイのかもね?アンタにゃ(苦笑)
早川千晶女史の「アフリカ日和」にも載っていない
大分の
“アフリカ祭り”
も始まってない
勿論、ブルケンゲも、大西匡哉も向山恵理子も居ない
多分、俺と同僚の優子・黒さん、そして大介しか知らない
古き良き思い出だ。
そういや、黒さん!あのクソ難しいマブンブンブもゴンダも完コピして
マーシャのスピードと勢いで叩けるようになって
大介に
「スゲェ、、タイミングも手順も腕の高さも全部一緒だ、、、」
と言われるほど、クソ練習して
確かに一緒に叩いても自分の音が聴こえるし、、マーシャもダメ出し少なくなったし
俺も自分の音が出来てきたかな?
な〜んて自惚れてたら、、、
「いや〜○○さんの太鼓はやっぱり和だね!竹の音がするよ!」
って(苦笑)
あー!!はいはい!!どーせ“竹”
の音ですよ、あたしゃ!!
ちくしょう
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