スクティ〜素材の妙と知恵の結晶 其の一〜




*ルヒヤ族とは? 

ケニアは西部のビクトリア湖からエルゴン山の間に多く住む民族で、語族としてはバントゥ―語群に

属することにになるらしいが、非常に沢山の氏族があり、同じルヒア族でも言葉が通じない場合がるのは

何故だろう?サミアの人達はルオ族の名前が多いし、ルオ語も堪能な人が多い。大体、同じ民族内で

お互いに言葉が通じないのでは本末転倒では?ルヒア語がそれほど堪能な日本人も知らないし

全く学者さんらは何をやっているんだろう?ケニア全体でみると上位5位以内には入る大きな民族なのに、、、

ルヒア人を音だけでみると、マラゴリ語(ルヒア族の一つ)では只の “ある社会” という意味だし、、

これで一つの民族として成立するのか? う〜ん、、、謎だ。


*スクティとは??

スクティとはルヒア族の中のイダホ・イスハ・ティリキ の人達が元々叩いていた太鼓で、

大・中・小の太鼓と、ヴィスィリと云うベルと一緒に演奏される。このヴィスィリとはその名前の通り

古くなった鍬を使うのだが、現在では車の部品の金属の輪っかを使う事が多い。

この太鼓の皮はよく間違えて “大蛇の皮” と紹介されることが多いがこれは間違い。

正解はブルケンゲ?グルケンゲ?と一般に呼ばれるオオトカゲの皮を使っている。

実際に比べてみると一目瞭然なのだが、太鼓に使えるほどの大蛇の皮は肌理が粗すぎて、装飾としては

良いかも知れないが、実用には全然向かないのである。また、この大・中・小の太鼓はそれぞれ名前があり

ムティティ・ムハ(kha)リやら、シカ(kha)バやら言うのだが、大きい方からインドゥンバ(又はインゴマ)、次に

シティティ、そしてシカ(kha)バと呼び、これら3つの太鼓を総称して(イ)スクティと呼ぶのが正しいようだ。

そして、よくスクティの語源は、その昔、カカメガを訪れたイギリス人達がこのNGOMAを観て

あまりの素晴らしさに 「It is good!」 と言って喜んだので、これが訛って “イスクティ” となった

と云う説があるが、これは幾らなんでも眉唾だろうと思う(苦笑) ナイロビにあるダゴレッティ・コーナーが

“The Great Cornner” が訛ったモノだと言うのと同じレベルの都市伝説(かな?)ではないだろうか?

この太鼓の一番大きな特徴は “肩からぶら下げて、脇に挟んで叩く” と言う事だ。

つまり、このスクティのグループは全ての楽器奏者が踊り手と共に練り歩きながら行えるのだ。

ケニア版サンバ・カーニバル的デモ行進兼ダンス天国 が一番似合うNGOMAであろう。

しかし、良い太鼓ほど胴鳴りの為にけっこう重い木を使っているので、慣れるまでは肩が凝って大変だ。

とは言っても、巨大なブンブンブや、ニドゥオンゲ・ンゴマ ンネ等をフルセットで持ち運ぶよりは

ズ〜ッと楽であり、しかも、プロアマ問わず初心者は(叩き方を知らないと)

先ずまともに音さえ出せない太鼓でもあるので、こういった特徴もまた、色んな場面で重宝した(笑)

太鼓の構造は胴の部分が大きく膨らみ、穴の辺りが絞ってある。これがミソでこの太鼓も

打ち付けっぱなしの皮の張り方だが、獣の皮ではなくトカゲ皮を使い、その特性を活かした

奏法により非常にユニークな効果をもたらす。実は、ルオ族の太鼓 “オハングラ” もトカゲ皮だし

ウガンダに入ってもビクトリア湖沿いのガンダ族やソガ族もこのトカゲ皮太鼓を使うが

この特殊な奏法はルヒア族のスクティにのみ顕著にみられるものだ。

また、太鼓の皮が非常に長持ちする奏法でもある。

3本全てトカゲ皮というのは、見た目のインパクトもあるし、奏法が面倒だがそれほど難しくなく

音量も充分だし、アンサンブルも妙な浮遊感を伴いつつ躍動的でこれまた個性的。

そして、皆で太鼓を叩きつつ練り歩く事が出来る!是非ともこの太鼓を使ったグループが日本にも

誕生して貰いたいモンだが、若し、皮が破れた時の事を考えると、わが国には太鼓に使えるほど

大きなトカゲは存在しないので、その点は面倒かも知れない。

しかも、実際のオオトカゲは本当にデカいし、尻尾もブンブン振り回すし、、、太鼓の皮として使うには

通常狙い目である胴体部分を傷つけてはイケないから、捕まえる方も大変だ!

トカゲ皮の太鼓は十二分に注意して扱おう!


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これが一番大きいサイズの太鼓=インドゥンバです。

まあ、パッと見はヘビ皮に見えなくもないですが、、、

こういう間違いはよく教職の方がするので困ったモンです。

「トカゲもヘビも爬虫類で一緒でしょ!気持ち悪い」な〜んて!

爬虫類大好きの僕としては許し難い暴言ですね(怒)

これはあまり良くないスクティですが、鳴らし易かったのと

3本セットで手に入ったので購入しました。

上級者用はもっと胴部分が巨大で僕にはまだまだ

マトモな音さえ出せません。。。いつか僕もクジラ型の

巨大スクティを扱えるようになりたいモンです。 




右利きの人はこのように構える。指の使い方に

特徴があるので、左手の位置はこれが正しい。

また、左手は肘から上にかけての可動域に制限が

あるので、右手が主にオープン&クローズのベースを

担当し、左手はスクティ独特のスラップとベント奏法に

用いる事が多い。


 

これが(イ)スクティのフルセットです。

左から大・中・小と並んでいます。あまり良い

スクティではありませんがご参考までに。


 

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