肝心要の事柄(抽象的だけれど、、)




※ 手で太鼓を叩くと云う行為は、振り上げ、振り下し、インパクトと云う感じに分けられる。

そしてタッチはズバリ当て方(インパクトの瞬間における)だ。手の形、重さ、厚さそれらは全て千差万別だから、

僕はタッチを教える事は殆ど不可能と思う。各自が自分の耳を使い、身体と相談しながら身に付けるしかないのじゃないか?

※ 全ての音楽的要素は極論すると全てが周期性=リズムだと云う事も出来る。これはシュトックハウゼンの「音楽の統一性」に詳しい。

季節の移り変わり、心臓の鼓動、起床睡眠、呼吸、脳波、性行為、、、等、全てが周期性=リズムだ。

だから、太鼓を叩くと云う行為は非常に原始的で、様々な要素を兼ね備えた肉体的・生理的周期性=リズムを

太鼓と云う直接的で原始的な楽器を通して外に向けて発する行為だとも言える。

※ 腕を振り上げる、腕を振り下げると云う行為は、勿論、振り上げる行為の方が我々にとって重要だ。

何故なら明らかに重力に対して逆らう動きだから。

古今東西、色々な説や方法がこの腕の振りに関して説かれてきた。

諸説が混在し一本化されないのは、結局のところ、各個人の感覚に委ねられ、しかも、その使用用途が

表現に関わってくるからかも知れない。

只、個人的体験から言って、速く動かないのは=速く振り上げられないからと云う場合が多い。

そして大抵それは利き手の逆だ。利き手の逆がもたつくとそれ以上速いパッセージで叩く事が出来ない。

しかし、そのもたつきが微妙なグルーヴを生む時があり、右手には右手の良さ、左手には左手の良さがあると思うので、

両手を均等にする必要もまた無いと思うが。。。。

※ 初めて太鼓を習う場合、一番大切なのはタッチだ。言葉で云えば正しい発音かな?

そして、太鼓の種類によって、汎用性の高いものから低いものまで沢山のタッチが存在する。

僕にとって新しい太鼓に挑戦するのは、新しい言語を習う事に似ている。

その言語特有の発音を習得して、やっと会話の練習に入れる感じ。

そのタッチを疎かにして、リズムやフレーズの練習に幾ら時間を費やしても、、、あまり意味が無い。

※ 日本や都会で暮らしながら、どこか別の国のNgomaを学ぶ場合、相当な戦略が必要な場合が多い。

ただ単にダラダラと練習を続けて上手になるワケが無い。特に日本や都会の生活には猥雑な日常の愚図が沢山生じるし、

それ自体を職業にしない限り、日常的に太鼓を叩く事は不可能だ。

多くのNgoma天国の土地に住む人々は、沢山の物を持たざる人々が多い。

無きゃイカンものじゃなく、あったら多少便利なものばかりに囲まれている連中が、ソレさえも欲するのは只の我が儘だと思う。

まあ、どうせ手に入れる事など出来ないのだが。。。

※ 音楽やNgomaに趣味も職業もプロもアマも無い。

その辺の肩書はそこに住む社会での便宜上のもので本質では無いと思う。

ヘボか?ご機嫌か?大抵はそのどちらかだ。

そして、本質的にはNgomaに優劣は無い、あるのは個人の好みだけだ。

※ 音楽やNgomaの楽しみは脳内バーチャル的でもあるし、肉体的快感でもある。

単に踊ると云う行為も突き詰めれば、どの瞬間に、どのように、どこに重心を置くか?だと思う。

だから、矢張り踊ると云う行為も、肉体的に聴いていなければ出来る筈が無い。

しかし、また、脳内バーチャル的な楽しみも捨て難い。

どちらかと云うと、我々日本人は脳内バーチャルに重点を置きがちで、だからこそ、数時間もスタジオに籠り

延々と座って練習を続ける事が出来る。

逆に僕の住むKenyaの人達は殆どが肉体派だ、踊れるNgomaを聴いて座っている事など出来ない(苦笑)

しかし、どちらの楽しみ方も正しいし、両方の快感を知っている人はそれだけ得をしていると云える。

そして、観客に応じてその度合いのバランスを考えた方が好い。

特に職業としてではなくとも、人前で演奏する機会がある人間ならば。。。

※ 手で太鼓を叩く行為は、如何にして振り上げ、振り下し、当てるか?だ。

殆どこれらの連続でしかない。そして、その答えを得るには自分の身体と話し、その判断が出来る自分の耳を持たなくてはならない。

どの部位を、どのように使って太鼓を叩くのか?それが分からなきゃ何年経っても上手にはならない。

※ フレーズもリズムも先ず口で歌えなければ、叩けない。

口で歌えないフレーズやリズムを何故叩く事が出来る? 憧れの人の演奏をどこまで集中して追掛ける事が出来るか?

時に自分の精神や肉体に物凄い負担を掛けてまで集中する事が出来るか?

それも一つの才能だと思う。バカと何とかは紙一重の喩え通りだ。


まだまだ思う事、覚え書きは沢山あるし、少々抽象的な話が多くなったが

抽象的な話が出来る、分かると云うのはその人の言語能力と理解力が高いと云う事

逆に言えば具体的に言わなきゃ何一つ分からんと云うのはそいつがバカだと云う事でもある。


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