BILL BRUFORD


現在、生きているドラマーで僕が一番好きな人がこのBILL BRUFORD(ビル・ブルフォードと発音する)
YESの「こわれもの」「危機」 KING CRIMSONの「RED」「DISCIPLINE」等、沢山のプログレBANDの有名どころを
渡り歩いてきた彼のキャリアはハンパじゃないし、BRUFORDを神と崇めるプログレ・ファンも多い。

一般的なディスコ・グラフィーはその人達に任せて、ここでは僕の個人的な意見を書きたい。

BRUFORDの魅力を一言で云うと、その独創性にある。そして、彼の独創性溢れる太鼓は、その発想と飽くなき
探究心から生まれるモノである。技術的には現在の発達しまくる、まるでオリンピック競技のようなドラムとは
全く違うが、出てくる音は全てBURUFORD印。そこが魅力で「次に何をするんだろう?」と云うような気持に聴き手
をさせてくれるのだ。大体、技術なんて単に自分の表現に必要だけ持っていれば良いのだし、逆に技術では人は
本当に感動はしないのだ。

70年代既に確固たるスタイルを創り上げていたBRUFORDは、その後、シモンズの電子ドラムを取り入れ、80年代
クリムゾンや自身のバンドEarth Worksで新たな表現方法を見せてくれた。その後、2バンド編成のクリムゾンに
最初の頃だけ参加し、シモンズ=電子ドラムに別れを告げ、アコースティック・ドラムに帰ってきた。その時の
セッティングがまた独特で、スネアを始めタム類が全部同じ高さで平行になっている。YouTubeでも色々とその
セットでのドラミングが観られるが、う〜ん、、、やっぱり、変だけど合理的にも見える。。。

元々、確固たる自分を持ったBRUFORD、そして、一か所に留まらず常に探究心を忘れない彼には、技術とは
先ず最初に、自分が表現したい欲求がそこに現れ、その都度それに必要なモノだけを新たに加えて来たように
僕には思える。どこかのインタヴューで日本ではマイナーな怒涛のアフリカン・ドラムアンサンブルである。
BURUNDIの重厚で怒涛のアンサンブルに言及していたり。中央アフリカのマイナーな現地録音の驚くべき無名の
ドラマーについて語っていたり、、、相当、色々と研究をしている筈。
僕には元々、彼の叩く太鼓にはアフリカの影響が強く感じられ、巷に知られる似非アフリカンなドラマーよりも、
もっと深いところで消化し、キチンと自分のフィルターを通したプレイに思えてならない。

これはあまり今まで言われてこなかった事だけれど、大体、本物のアフリカの太鼓を知っている人の絶対数が
少ないワケだから、仕方が無い。プログレ・ファンは100%アフリカに興味無いでしょ?知っていてもDjembeぐらい
が精々関の山。それじゃあ、ただ、個性的なドラムと云う事しか感じられんもんね。。。また、彼の出している教則
ビデオ「THE BEAT」では、先ず、譜面に♪だけ書いて、それを色々な手順で試すなんて言う事もやっていた。
この辺も、長く続けて行くとどうしても出て来てしまう、惰性や手癖だけでのプレイから逃れ、新たな発見や感動を
自ら呼び起こせる一つの手だと思う。

※因みにこのビデオは、全部で30分足らずで少々物足りないかも知れないが、当時の彼のDRUMに対する考
えや、リズムに対する考えが聞けて大変興味深い。バラバラ〜っと薄っぺらな技術を見せて、パッとしないデモ
演奏でお茶を濁す教則ビデオよりも、絶対に面白いだろう。最後には難曲DISCIPLINEのリズムパートの種明
かしと、当時のクリムゾン・メンバーによるデモ演奏も付いている大変豪華な内容だ(笑)

多くのプログレ時代のファンは、彼のソロバンド(その名もBRUFORD)までは好意的に受け入れてくれるが、そ
の後のBill Bruford's Earth Worksについては「ああ、遂にJAZZへ行ってしまったか、、」と早くROCKに戻って来て
欲しいようだ(苦笑) しかし、僕にはプログレ時代(YESやKING・CRIMSON等)よりも、更に言えばJ・バーリンや
A・ホールズワース達とのBRUFORDソロバンド時代よりも、このBill Bruford's Earth Works以降の方が面白く聴
ける。そりゃ、時々は「アチャ―、、」と云うのもあるが、常に進化し続けるBRUFORDのファンはやっぱり、
今!現在進行形の彼の動向に一番注目すべきだと思うし、いつも次に何を演るか!?期待をさせてくれる
ドラマーがBRUFORDなのだから。。。。

Earth Worksもジャンゴ・ベイツ達とのシモンズ時代、アコースティックに戻ってからと分けられるが、特に、この
辺りになってから、彼の作曲の才能が顕著に出て来たと思う。若手の有能なミュージシャン達を積極的に起用し、
決して4ビートじゃないが、明らかに未だJAZZに拘るバカなJAZZ屋達よりも面白く、僕の耳には新鮮に聴こえた。
また、プログレ時代からOdd Meter=変拍子を叩く事が多かったのだが、そこらの凡百ドラマーと違うのは、
アクセントの移動や、チョッとしたアイデア、工夫で変拍子を感じさせずに聴こえてしまったり、逆に普通の
インツーがちょっとオカシく聴こえたりする。各曲のメロディーやリフレインとキチンと絡めた上での変拍子だから、
自然に聴こえるのであり、デモ演奏の域を出ないドラマーとは雲泥の違いだ。

僕にとってBILL BRUFORDとは類稀なる頭脳と才能、そして熱いハートを同時に持ったドラム・ヒーローなのだ。

そんな彼が現役引退をしてしまったのは、スゴォ〜〜ク寂しい。。。。

※因みに僕は結局ナマでBrufordを観る事が出来なかったのだが、ウチの姉は友人に誘われ混合YESのライブに
行ってきた。パンフレットを渡され興奮気味の僕が「で、DRUMはどうだった!?」の問いに、
「うん、凄くドカドカ叩いて格好良かったよ!」 「。。。。いや、そっちはA・ホワイトでしょ?こっちの人は?」と
パンフのBrufordを指すと「ああ、そっちの人!ううん、、なんかピヨ〜ンポヨ〜ンってよく分かんなかった。。」
だとさ!(苦笑)


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               *T・ガーランドを迎えてBIG BANDでの 
                  ライブ演奏です。ムチャクチャ格好良い
                 5拍子の曲“Footloose and Fancy Free”等                                           
                  過去の名曲が甦る。           
             
            





*右でCRIMSON時代を揶揄しているけど、
  やっぱり、この辺は代表作だよなあ。。。
  全編スッゴイ緊張感で疲れるアルバム。



*EarthWorks(シモンズ時代)のハイライト!
   一曲ずつのクオリティーが高く、ジャケも
  格好好いし、なんで売れなかったんだろ?



*表題曲の“If Summer its Ghosts”が好き。
  涼しげでイイ感じ。R・タウナー&E・ゴメス
  とのトリオ作品。友人に買って貰いました。




*アコースティックEarthWorksはこれで
  キマリ!Sound Of Surpriseとはよく
  言ったもんだ。大のお薦めです。
  難しい事をサラッと演るのは素敵です。

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